単位

物理量の測定とは、等しい次元をもつ2つの物理量をとり、 一方を標準として他方がその何倍に相当するかを決めることである。 このとき標準とした物理量を単位と呼ぶ。

全ての物理量の持つ単位は、いくつかの単位を基本単位として選べば、 それらの組み合わせで表現することができる。 最初に選んだ独立な単位の集合を基本単位系という。 力学では、基本単位として、長さ、質量、時間を採用し、 他の単位は普遍的な物理法則に基づいて組み立てる。 これを絶対単位系という。

定義

長さの単位:1メートル (metre, m) は、 光が真空中で 1/(299 792 458) s の間に進む距離とする。

♪ 歴史的にはフランス革命中に、地球の北極から赤道間までの距離の1千万分の1を 1 m と定義した。よって、地球の周の長さは 4万 km となる。 子午線の長さは、1792年より7年の歳月をかけて、Delambre(ドゥランブル) とMechain(メシェン)が、ほぼ同経度にある2つの都市、ダンケルク(ベルギー)と バルセロナ(スペイン)間の距離を測量することで求めた。 また、metre はボルダの振り子でしられる Borda の造語でギリシャ語の metron またはラテン語の metrum に由来するが、いずれも尺度または計ることを意味する。 このように定義して、1メートルを表すメートル原器を作り、その複製が各国にある。

【参考文献】ドゥニ・ゲージュ「子午線」工作舎(1989年7月)2500円
 因みに「子(ね)」は北、「午(うま)」は南を意味する。また、緯度を卯酉(ぼうゆう)線と呼ぶのも、「卯」が東、「酉」が西を意味するからである。

質量の単位:国際キログラム原器( 直径と高さが共に39 mmの円筒形を Pt:プラチナ(90 %)と Ir:イリジウム(10 %)との合金で作ったもの)の質量を 1 キログラム(kilogram, kg) とする。

♪ 歴史的には、水をもちいて定義していた。1気圧で最大密度の水 1 リットルの質量を1 kg とした。当初ラボアジェがキログラム原器の製作に携わっていたが、徴税官であることをフランス革命政府から問題にされて、 1794 年に断頭台の露と消えた。近代化学の創始者:ラボアジェの業績としては、化学反応における質量保存の法則、元素のアイディアがある。

偉大な数学者ラグランジュがドランブルに言ったとされる次の文句は有名である。 「彼らがこの頭を落とすには、一瞬でこと足りた。しかしこれと同じような頭を再び得るには、一世紀あっても足りないだろう。」(グリモー、田中豊助・原田紀子・牧野文子 共訳「ラボアジェ」内田老鶴圃、p.197)

時間の単位:セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の 9 192 631 770 倍に等しい時間を1秒 (second, s) する。

♪ 歴史的には地球の自転周期がほぼ一定であることを利用して、1 s = 1平均太陽日/ ( 24×60×60 ) と定義した。しかし、精度の高い水晶時計が発明されると、地球の自転周期が変動していることが判明した。地球の自転は、主に海水との摩擦により、近年では年に約1秒程度遅れている。天文観測に基づく世界時とセシウムに基づく協定世界時との時刻のずれの補正はうるう秒によって調整されている。また、この傾向がこのまま継続すると、一日の長さが何時間も長くなる。人間はそれに適応してゆけるのだろうか。

(注)赤道上(黄道ではない!!)を一定の速さで進む平均太陽を想定し、それに対する自転周期を平均太陽日という。見かけの太陽が南中してから翌日南中するまでの時間を1視太陽日というが、これは(1)見かけの太陽が赤道上ではなく黄道上を動く、(2)見かけの太陽の動く速さが一定ではない、ために年間を通じて変動する。1視太陽日の変動は最大 50 秒程度になる。


【参考文献】小泉袈裟勝「単位の起源事典」東京書籍(1982年)
      清水義範「単位物語」朝日新聞社(1991年)これは楽しい!
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