科学の終焉
ジョン・ホーガン 徳間書店(1997年10月)2500円(490ページ)

徐 丙鉄(近畿大学工学部)97.12.26

科学に終わりはあるのか?
現在は終焉に近いのではないか?
相対性理論や量子論のような革命的な理論はもうないのではないか?
進化に関してはダーウィン以降本質的な発見はないのではないか?
このように感じている人々は科学者の中でも結構な割合存在するのではないだろうか。
この本の中の次のような陳述は多くの科学者の思いでもあろう。
ある著名な物理学者は、自然科学の未来の真実は小数点第6位にさがされることになるはずだ、と語っている。(マイケルソン、p. 39)
根本的な原理の帰結だけを研究することは、世界の法則の発見と較べれば、「ある意味で、面白くない」し「深くもない」(カダノフ、p.50)
量子力学の基本構造、相対性理論ぬきの量子力学、その基本構造といったものは完成し終わっている(ベーテ、p. 121)
 ホーガンは、欧米の著名科学者にインタビューし、 少し意地悪な質問、礼儀をわきまえた者には決してできない質問をする、面白い本だ。

 周期倍分岐のスケーリング理論を展開したファイゲンバウムが、 このところ真剣勝負をしていないと寂しげに語るところは切ない。

 科学に終焉があるし、科学者個人にも、社会、国家にも黄昏はくる。
 アメリカでこの本はベストセラーになったそうだが、 日本ではどうだろう。

 内容はまじめなのに、カバーのニュートンとアインシュタインの漫画が 不似合いだ。これではこの本は不真面目に科学の終焉について議論します、 きっと楽しめますと言っているようなものだ。


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