天才数学者たちが挑んだ最大の難問
フェルマーの最終定理が解けるまで
アミール・D・アクゼル/吉永良正・訳 早川書房(1999年5月)1800円(210ページ)

徐 丙鉄(近畿大学工学部)99.11.6

フェルマーの最終定理(17世紀)

xn + yn = zn  は、n が 2 より大きいとき、自然数解を持たない。

 フェルマーの最終定理は、ディオファントスの著書「算術」の余白に書き込まれていた。次の文句は有名である。

私はこのことの真に驚くべき証明を発見したが、それを記すには余白が小さすぎる。

 昔、物理の統計力学分野では「イジング病」という病があったそうだ。 この病は3次元のイジングモデルの厳密解を求めることに異常な執念を燃やす病で、 戦中/戦後の世代の物理学者(統計力学分野)の中で罹ったものがいるという。

 フェルマーの最終定理は数学者にとってどのような位置付けだったのだろうか? 孤立した難問と受け取られていたのではないか。 証明されたところで数学の進歩には関係ないと受け取られていたのでは推測する。

 この難問をアンドリュー・ワイルズが正しいことを証明した。しかも20世紀数学の本流の成果を駆使して。 この本はフェルマーの最終定理の証明に至るストーリーの主に人間的側面に関する物語である。 数学的内容はあまり解説されていない。一般書としては解説不可能なのであろうが、多少なりとも垣間見たかった。

 数学関連本が売れているという。 この本や、 ブラットナー「πの神秘」(アーティストハウス)、 エンツェンベルガー「数の悪魔」(晶文社) などである。


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