「経度への挑戦」
デーヴァ・ソベル(藤井留美 訳) 翔泳社(1997年7月)1,400円

徐 丙鉄(近畿大学工学部)97.9.7

 時計職人ジョン・ハリソンが半生をかけて、経度測定用に正確な時計を製作し、賞金を獲得する物語である。

イギリス議会は1714年7月8日に経度法を制定し、海上で経度を確定する「実用かつ有効な」手段を 見つけた者に賞金を与えることにした。

 2地点間の経度差を測定する方法の一つに、太陽が南中する時間差を測定する方法がある。 そのためには正確な時計が必要になる。  例えば、赤道に沿って100キロの誤差で位置を知るには、赤道の長さは4万kmだから、 1/400(=100km/40000km)の誤差で経度を測定する必要がある。 つまり、経度を0.9度(=360度/400)の誤差で測定する必要がある。 時間に直すと216秒(=0.9*24*60*60/360)である。 1カ月の航海であれば、一日あたり7.2秒(=216/30)以内の誤差の時計が必要になる。 2カ月の航海であれば、一日あたり3.6秒以内の誤差の時計が必要になる。
 当時、イギリスからカリブ海に行くのに6週間かかった。 この航海で経度を1/2度以内の誤差で測定するには、時計の誤差は1日あたり約3秒以内となる。
( 0.5度*24*60*60秒/360度)/42日=2.86秒 )

 この本はイギリスで23週連続No.1ベストセラーだそうだ。  この本を見て、ドゥニ・ゲージュの「子午線---メートル異聞」(工作舎:2500円)を思い出した。 フランス革命200周年記念映画の原作である。内容は、フランス革命時に1メートルを定義するために、 地球の子午線の長さを精密に測定するという話だ。こちらの方が本格的で「経線への挑戦」より面白い。 なお、ドゥニ・ゲージュはパリ大学の数学者である。


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