「ネアンデルタール」
ジョン・ダートン/嶋田 洋一 訳 ソニー・マガジンズ(1996年11月)1800円

徐 丙鉄(近畿大学工学部)97.3.1

 前人類ネアンデルタール人は今から23万年前に地上に現れ、 3万年前に、我々の祖先であるクロマニヨン人と入れ替わるように、突如絶滅したと考えられてきた。現在、地上には種として人は1種類しかいない。つまり、我々、ヒト科ヒト属ヒト、学名ホモ・サピエンス・サピエンス、だけであると考えられている。

そのネアンデルタールが生存していた。
ネアンデルタール人との遭遇、
ネアンデルタール人の特殊な能力、
分化と進化への道程、謎の壁画、・・・。

 欲を言えば、もっと科学が欲しい。
古人類学者以外に、サンタフェ研究所の複雑系科学者を登場させ、 ネアンデルタールが生存していたことや進化に関し、 複雑系の立場から何か述べさせて欲しい。 ジュラシックパークのカオス数学者イアン・マルカムのような人物。

 おもしろく、アトラクティブではあるが、 読後感はあまり気持ちのいいものではない。

 なお、ネアンデルタールの名の由来は、ドイツのデュッセルドルフ近郊で親しまれていた、 ノイマンという校長が良く歩き回った谷で、骨が1856年に発見されたからだそうだ。
 ノイマンとは「新しい人」を意味し、ギリシャ語で「ネアンデル」となる。 生前ノイマンは自分の名をギリシャ語で呼ばせていた。 ノイマンの死後、村人は彼を記念して、その谷をネアンデルタール=ノイマンの谷、 と呼んでいた。

 例によって、この小説はスピルバーグの目の付けるところとなり、 来年の夏には映画が公開される予定だそうだ。 スピルバーグはおもしろい小説は全部買い占める。
 また、翻訳も世界12カ国で進行中だそうだ。世界的ベストセラーの道を歩むかも知れない。


[ Home Page ] [ おもしろい本、ためになる本 ]