虹の原理

虹はまことに目ざましい自然驚異であり,その原因についてはいつの時代でもすぐれた精神によってきわめて念入りに探求されてきたにもかかわらず,きわめて知られることのすくないものであるから,私の使う方法によれば,現在にも著作の残っている人々もまったくもたなかった知識にいかにして到達しうるかを知らせるのに,これほど適した題材を選ぶことはできまいと思われる.

デカルト「気象学」第8講 虹について 赤木昭三訳(白水社)

雨上がりに日がさすと,太陽と反対方向に,視半径約42度で虹が掛かることがある.ここで二つ疑問がある.
  1. 視半径の問題:視半径42度はどこからでてくるのか?
  2. 色の順序:虹の色の順序(上から赤,橙,黄,緑,藍,紫)の理由は何か?
色の順序は屈折率の波長依存性による(分散)ことは広く知られているが, 視半径42度の方はあまり理解されていない.

右のアプレットは虹の視半径42度の理由を説明する目的で製作した.水滴に入射する太陽光線の水滴の中心からの距離を横軸にとり,太陽光線が水滴に入射し,屈折・反射・屈折し戻ってくるときの角度(虹が太陽光線に対してなす角度:視半径)を,アプレット内の左のグラフで表示している.

太陽光線をドラッグして,水滴に入射する位置を変化させ,そのときの視半径を観察すると,視半径は42.5度の付近に最大値を持ち,この付近の角度に太陽光線が集まるのが分かる.

太陽光線が水滴に入射するときの入射角を i ,屈折角を r とすると, 最初の屈折で太陽光線の進行方向は時計回りへ i-r だけ回転する.
反射で太陽光線の進行方向の変化は π-2r , 最後の屈折で i-r である. 結局,水滴に入射して戻ってくる太陽光線の進行方向は入射方向から

( i - r ) + ( π- 2r ) + ( i - r ) = π+ 2i - 4r

だけ回転する.
従って入射光線に対して,水滴から戻ってくる太陽光線のなす角θ(虹の視半径)は
θ= π- ( π+ 2i - 4r ) = 4r - 2i

となる.
一方,空気の絶対屈折率をn1(=1),水の絶対屈折率をn2(=1.33)と置くと, 屈折の法則より
sin i / sin r = n2 / n1

であるから,r = arcsin( n1 / n2 sin i ) と表せる. 以上より虹の視半径θは
θ= 4 arcsin( n1 / n2 sin i ) - 2i

となる. 入射角 i が変化するとき視半径θは i = i*で極地(最大)値をとる.
cos2 i* = ( (n2/n1)2 - 1 )/3

i* = 59.6度

このときのθの値が約42.5度である.


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