こっくりさんの力学:Faradayのアプローチ

科学的とはどうゆうことか? 力学が身についた人ならば,どのように考えるか.2004-7-10

こっくりさんはヨーロッパではTable Turinig,Table Tapping,Table Movingとよばれている占い方法である.数人がテーブルを囲んで手をテーブルの上に乗せ,呪文を唱えると,やがて霊が降りてきて,数々の質問にテーブルの動きで答える.

安斎によると,電磁誘導の法則で有名な大物理学者Faradayが,19世紀にヨーロッパで流行したTable Turinigの解明に挑んだ.

Faradayは,Table Turningを力学現象と認識し,もしテーブルが霊のお告げで動くのであれば,手より先にテーブルが動くはずだが,人間が動かしているのであれば,テーブルより先に手が動くはずであると考えた.

そしてテーブルが先に動くのか,手が先に動くのかを明らかにするために,図のようなテコを活用した表示装置を作った.テーブルが先に動けば指示棒の先端の目印がテーブルが動いた方向に動き,手が先に動けば指示棒の先端の目印はテーブルが動いた方向とは逆に動く.

結果は次のようなものであった.

  1. 被験者が指示棒の先端の目印を見ていると,その先端はじっとしており,テーブルは動かない.
  2. 被験者に指示棒の先端の目印を見えないようにすると,テーブルは動き出す.
  3. 被験者の目の前に表示装置が置かれると,テーブルが動くことを最も熱心に願う人の場合でさえ,Table Turiningの効果は消え失せてしまう.

Faradayは1853年のThe Timesに手紙を掲載し,事物の因果関係について考察を加えようとはしないで,見当違いの原因を信じ込んだり,証拠だてようとする人々が多数存在することを見て,次のように断じた.

私は,この問題を通じて明らかになった人々の意識状況が放置されてきたような教育制度は,非常に重要な原則において,どこか大きな欠陥を持っていたに相違ないと考えます.

Newton以降,力学が確立し,力学的自然観が身についた人ならば,皆Faradayのように,「テーブルを動かす力の主体は何か」を追求するのは自然である. 科学で全ての自然現象が解き明かされる訳ではないが,物理学の基本法則は例外なく成立することを認識することが重要である. 超能力や心霊現象も物理学の基本法則に従わなければならない. 静止していたテーブルが動くのは力学現象である.テーブルが動いたのであれば力が作用したのであり,力を作用させた主体が必ず存在する.

安斎育郎「霊はあるか」ブルーバックス(講談社)2002
ものの見方考え方研究会「超能力・トリック・手品」(季節社)1994


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